先日、札幌地方裁判所にて同性婚に関する裁判の判決が出ました。

<a href="https://www.nikkei.com/article/DGXZQOHC170G50X10C21A3000000/">https://www.nikkei.com/article/DGXZQOHC170G50X10C21A3000000/</a>

結論としては請求棄却ですが、報道では「同性婚を認めないのは違憲とした判決」などと評されています。
しかし、よくよく判決文を見てみると、必ずしもそうは言えないのではないか、というのが率直な感想です。

それでは、今回の札幌地裁の判決文を見てみましょう。

<a href="https://www.call4.jp/file/pdf/202103/533e3260db61a96e84711d1f0c02d5d6.pdf">https://www.call4.jp/file/pdf/202103/533e3260db61a96e84711d1f0c02d5d6.pdf</a>

ここで注目されるのは、同性婚を認めていない法律の規定は、個人の尊厳について定めた憲法13条や婚姻について定めた憲法24条には違反していないとしつつ、法の下の平等について定めた憲法14条に違反しているとしたことです。
しかも、その理由としては、「本件規定が、異性愛者に対しては婚姻という制度を利用する機会を提供しているにもかかわらず、同性愛者に対しては、婚姻によって生じる法的効果の一部ですらもこれを享受する法的手段を提供しないとしていることは、立法府が広範な立法裁量を有することを前提としても、その裁量権の範囲を超えたものであるといわざるを得ず、本件区別取扱いは、その限度で合理的根拠を欠く差別取扱いに当たると解さざるを得ない」とされているところです。
要するに、異性愛者はパートナーと結婚することで一定の法的効果が得られるのに、同性愛者はパートナーと結婚することができず何らの法的効果も得られないので、同性愛者は異性愛者と比較して差別されている、ということです。しかも、判決文によれば、結婚と完全に同程度の法的効果を保障する必要はなく、その一部でも保証すれば足りると示唆していると解されます。

これ、逆にいえば、結婚という制度でなくても、結婚した場合と類似の結果が得られる制度がある程度できれば、憲法14条違反という問題も解消されてしまうということです。
穿った見方をすれば、今回の判決は、同性婚は認められないよ、でも同性愛者には結婚と同程度の法的効果をいくつか保障しないと不公平だよ、ということを言っているだけです。一部の報道では「同性婚の不受理は違憲とした」とまで評されていますが、実態はそのようなものではないといわざるを得ません。
恐らくですが裁判所としては、現行憲法では正面から同性婚を認めなければならないとすることは文理上どうしても困難であるが、他方で同性愛者にもある程度の法的保護を認めるべきという価値観との折衷的な解決を図ったのだろうなあと思います。

したがって、今回の札幌地裁の判決はまだ出たばかりなので今はマスコミに熱量をもって迎えられていますが、これから時間が経過して法律専門誌での評釈などを重ねていくうちに、必ずしも報道されているような「同性婚を認めないのは違憲とした判決」という捉え方はされなくなっていくのではないか、と予測されます。正確にいうならば、「同性愛者にも結婚と同程度の保障をいくつか認めないことは違憲であるとした判決」といったところでしょうか。
同性婚を求める側からすれば、結婚という形式にはとらわれず、結婚と同等の法的効果が得られるようになれば問題解決ということで良いのかもしれません。いわゆる登録パートナーシップ制度などがそれに当たるでしょう。ただ、今回の判決が違憲性を「結婚」という枠組みでは論じておらず「結婚によって得られる法的効果」で論じているところは、原告側の思惑とは多少ずれているのではないかなと思います。
同性婚については札幌だけでなく東京、大阪、名古屋、福岡でも裁判になっていますが、これらの裁判はまだ審理中で判決は当分先のようです。今回の判決が他の裁判にどのように影響するか、あるいは影響しないのか、今後の展開が注目されます。

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