破産管財事件の非招集型手続

 札幌地方裁判所で破産管財事件の非招集型手続が実施されるようになりました。
 非招集型手続というのは、債権者集会を実施しないで破産管財事件を進める手続です。

 そもそも破産手続には同時廃止事件と管財事件の2種類あります。
 そのうち管財事件の場合には、債権者集会といって裁判所の会議室等を利用して管財人が債権者に対して報告をするという説明会のような手続をする必要がありました。

 しかし、実際に債権者集会を開いても、債権者は誰も出席せず、無人の客席に向かって淡々と管財人が報告書を読み上げるというケースが多々ありました。
 そのような場合でも今までは法律上必要とされているので必ず債権者集会を開催していたのですが、手続としてはやや非効率的で不経済なのは否めませんでした。
 そこに後押しとなったのがコロナ対策で、近年は新型コロナウイルスの感染予防のために債権者集会を開催しない方向での運用が全国の裁判所で始められていました。

 非招集型手続の特徴としては以下のようになります。
 ①手続に要する期間が2か月程度長くなる。
 ②申立時に破産者が裁判所に納付する費用が5000円程度増える。
 ③一定の場合には招集型手続に移行する場合がある。

 時間とコストがやや増える代わりに、債権者集会のために平日昼に裁判所に出頭する手間がなくなるといったところでしょうか。

 なお、札幌地裁の運用として非招集型手続が利用されるのは、自然人の破産の場合で、債権者集会を開いても誰も出席しないことが予想される場合となります。
 よって、会社の破産の場合は従来通りの手続となります。
 実際に非招集型手続が利用されるのは、主にサラリーマンや主婦等の破産の場合になると思われます。

この記事の執筆者

東京・大阪の二大都市で勤務弁護士の経験を積んだ後、
2008年から実務修習地の札幌で葛葉法律事務所を開設。
相続、離婚、交通事故、会社間の訴訟の取扱いが多め。
弁護士歴約20年。

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