相続登記の義務化

不動産の相続登記は、放置すればするほど時間の経過とともに相続人となる者が増えていき、ますます相続手続が困難となります。
相続登記が放置されていると事実上売買もできなくなるため、不動産の流通が妨げられる結果となります。
また、国としても、相続登記をきちんとしてもらわないと固定資産税等の徴収が難しくなります。

そこで、令和6年4月1日から相続登記が義務化されることとなりました。
主な制度内容としては以下の2点です。
①基本的に3年以内に相続登記をしなければならない。
②違反した場合には罰則として10万円以下の過料がかされることがある。
罰則としてはやや緩いものですが、これにより社会全体が相続登記を促すように流れていくことを期待しているのだと思われます。

ちなみに、私がこれまで見た中で最も古い登記は、明治45年頃に所有者変更の登記がされてからそのまま放置されているというものでした。
もうこうなると、はっきりいって現在の相続人が相続登記をするのは無理だと思います。そもそも相続人は自分がその不動産の相続人であることを認識していないでしょうし、もしかしたら既に相続人自体が存在しなくなっているかもしれません。
そのため、今回の法改正は序の口で、将来的にはもっと強制的に登記を整理する法制度ができるのではないかと予想しています。

この記事の執筆者

東京・大阪の二大都市で勤務弁護士の経験を積んだ後、
2008年から実務修習地の札幌で葛葉法律事務所を開設。
相続、離婚、交通事故、会社間の訴訟の取扱いが多め。
弁護士歴約20年。

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