養育費の支払義務が免除されるケース

 一度決めた養育費の金額の変更には「事情の変更」が必要だということは前回の記事でご説明しましたが、それでは養育費が0円になるという場合はあるのでしょうか。
(最初に決めた養育費の支払いが完了した場合を除きます)

 結論から言いますと、養育費を払わなくて良くなるという場合は、あります。

 それは、夫婦が離婚し、母親が子を引き取った場合に、母親が再婚し、再婚相手が子と養子縁組をした場合です。
 この場合、子の扶養義務は、まず養父である再婚相手が負うこととなります。そのため、実父は基本的に扶養義務を負わなくなり、養育費を支払わなくて良くなります。
 肝は養子縁組をしたかどうかなので、もし再婚しただけで、再婚相手が子と養子縁組をしていない場合には、扶養義務は実父が負っているので養育費を支払う必要があります。

 なお、もし調停や審判などで養育費の支払いを取り決めている場合には、そのままでは調停や審判に基づいて養育費の支払いを続けさせられてしまう恐れがあります。
 もし相手が再婚して養子縁組もしたのに、養育費の支払いだけは続けさせられているという場合には、「事情の変更」に当たるとして調停や審判で養育費の支払いを無くすことができます。

この記事の執筆者

東京・大阪の二大都市で勤務弁護士の経験を積んだ後、
2008年から実務修習地の札幌で葛葉法律事務所を開設。
相続、離婚、交通事故、会社間の訴訟の取扱いが多め。
弁護士歴約20年。

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