「訴状を受け取ってないのでコメントできない」は本当か?
よく報道で、誰かが会社を訴えたというような事件で、訴えられた会社が「訴状が届いてないのでまだコメントできない」というようなことを言っているのを見聞することがあると思います。
あれって、報道を見ている側からすると、「本当は訴状は届いているのに、受け取っていないことにしてコメントを避けようとしているのではないのか。けしからん会社め」などと思ったりすることはないでしょうか。
結論から言うと、そういうケースのほとんどの場合、本当に会社には訴状は届いてないと思います。
というのも、大体そういう裁判を起こしたことがニュースになるのって、提訴して直ぐに記者会見をしたときだと思います。
しかし、提訴してから被告側に訴状が届くまで、大体2週間はかかるのが通常です。
そのため、裁判を起こして直ぐに記者会見をし、報道機関が訴えられた側の会社にコメントを求めても、訴状は届いてないばかりか、報道機関から聞いて初めて訴えられたことを知るというようなケースまであるのです。
では、訴えてから訴状が届けられるまでの2週間、いったい何が行われているのかといいますと、裁判所で訴状の内容のチェックをしたり、第1回口頭弁論期日の日程調整を行ったりしています。
このとき、裁判所から原告側に訴状の修正を求められることがあり、それに時間がかかると、被告側に訴状が届けられるまでに1か月かかったりするようなこともあります。
なので、訴えられてすぐに被告側の会社にコメントを求めても、だいたい同じような回答しかなされないと分かっていると思うのです。それでも報道でよく目にするということは、報道機関としてはとりあえずコメントを求めるところまでが様式美になっているのでしょうか? それとも、そういうコメントを載せなかったら載せなかったで、視聴者から「どうして訴えられた方の言い分は報道しないんだ?」という疑問が呈されるからなのでしょうか?
報道関係者の方によると、報道の両論併記の観点から被告側のコメントを求めている、ということだそうです。被告側としては届いてもいない訴状に関するコメントを求められても困るでしょうが、他方で、報道側としては訴えられた時点で報道しないとニュースバリューがないので仕方ないといったところでしょうか。なんとも痛し痒しなものですね。
相続や離婚のお悩みは、葛葉法律事務所へご相談ください。経験豊富な弁護士が親身に対応いたします。

