法曹界の同期

 先日、飛行機に乗ったときに座席に備え置きの雑誌をパラパラとめくっていたところ、京都の舞妓さんの話が掲載されていました。
 なんでも、舞妓さんの業界では同じ頃に業界に入った人たちは「同期」と呼んでとても仲良くなるそうですが、一日でも早く業界に入ったら、例え同期でも「先輩」として接するのだそうです。舞妓さんの業界には新卒一斉採用なんていうのがないので、そういうことになるのでしょう。

 われわれ法曹界にも「同期」というものがあります。
 司法試験に合格した後、弁護士や裁判官になる前に「司法修習」という1年超の研修を国によって義務付けられているのですが、この司法修習を一緒に過ごした者を「同期」と呼んでいます。司法修習は毎年決まった期間に行われるので、同じ年に司法試験を通過した者の大部分がそのまま一斉に司法修習に入ります。そのため、一口に同期といっても、1000人以上いたりします。
 ちなみに、私の同期は全部で1200人くらいいたような気がします。気がしますというのは、正直なところ、私は同期のほぼ全員を知りません。他の人たちも、同期の全員を知っているという人は、まずいないでしょう(というか、普通は同期をほとんど知りません)。さらに、司法修習が終われば弁護士や裁判官として全国に散らばるので、司法修習が終わったら一生会う機会もないという同期が大部分です。

 それなのに、同期というのは不思議なもので、妙な連帯感というか繋がりがあるものです。例えば、私は大阪弁護士会から札幌弁護士会に移ってきたのですが、それまで面識が無くても同期というだけで親しくなった弁護士もいます。
 あと、会長選挙の際に立候補者の各陣営から投票のお願いの電話が来るのですが、電話する先を期によって割り振っていることが多いです。いきなり知らない弁護士から電話が来て、「同期の~ですが、今度の会長選挙には~に投票して下さい」みたいなことを言われたりします。

この記事の執筆者

東京・大阪の二大都市で勤務弁護士の経験を積んだ後、
2008年から実務修習地の札幌で葛葉法律事務所を開設。
相続、離婚、交通事故、会社間の訴訟の取扱いが多め。
弁護士歴約20年。

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