会社の破産とお金の問題

 先日、円安の影響で輸入原材料が高騰したことにより、これまで減少傾向にあった法人の倒産件数が増加に転じた、というニュースがありました。
 報道内容の真偽はともかくとして、会社を倒産させようとするときに注意しなければならない点があります。

 それは、倒産するにもお金が必要、ということです。

 『お金がないから倒産するのに、倒産するにもお金がかかるの!?』と思われるかもしれませんが、かかるものはかかります。

 倒産のときに必要となるお金には2種類あります。
 1つは、倒産処理を依頼する弁護士に払うお金です。
 もう1つは、倒産手続を申請するときに裁判所に納めるお金です。

 弁護士に払う金額は、ケースバイケースですが、大体50万円~100万円くらいは必要と考えておけば間に合うと思います。
 裁判所に納める金額は、裁判所ごとによってある程度の基準ができています。例えば札幌地方裁判所では、負債の総額によって変わってきます(負債総額が5000万円未満の場合は50万円~70万円、1億円未満の場合は100万円etc)。

 したがって、どんなに小さい零細会社の場合でも、破産をするときは合計100万円程度は必要になると考えておいた方が良いでしょう。
 そうすると、資金繰りが詰まってどうにもやりくりができなくなって会社の資金も底をついてから破産をしようとすると、破産に必要なお金が用意できなくて破産すらできないという事態に陥りかねない、ということがお分かり頂けると思います。破産は最後の手段だから、ぎりぎりまで頑張って、にっちもさっちもいかなくなってから破産を考えようというのでは、実は手遅れになってしまう恐れがあるのです。反対に、ある程度余裕があるうちにご相談頂ければ、裁判所に申請をする『エックスデー』を想定して、それまでにどのような手順で進めるかということも含めて調整することが可能となります。

 会社の破産を考えたときは、お早めにご相談頂ければと思います。

この記事の執筆者

東京・大阪の二大都市で勤務弁護士の経験を積んだ後、
2008年から実務修習地の札幌で葛葉法律事務所を開設。
相続、離婚、交通事故、会社間の訴訟の取扱いが多め。
弁護士歴約20年。

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