金融機関とのリスケジュールの交渉のポイント
テナントビルの空き室が目立ってきたなあと思う今日この頃です。
がらんとしたフロアや活気のなくなった窓ガラスを見ると、不況がじわりじわりと爪を喰いこませているのを目の当たりにする心持ちです。
そんなご時勢ですから、事業再生や事業再建などといった言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
ひとくちに事業再生といっても、その内容は決まっているわけではありません。
リストラをして経費削減に努めることもそうですし、コンサルタントのように新商品の開発を提案したりすることをいう場合もあるでしょう。事業再建と称して社員を禅道場に研修に行かせて士気を高めようという会社もあるかもしれません。
うちの事務所でも事業再生のご案内をしていますが、それは主に金融債務の巻き直しという方法になります。
具体的にいうと、銀行や信金などへのローンの返済が厳しくなってきたときに、銀行等と交渉をして、返済の期間を長くしてローンの月額を減らしてもらうというものです。
このように返済月額や返済期間を変更することを「リスケジュール」、略して「リスケ」と呼びます。
ところで、このようなリスケの交渉は、何も弁護士に依頼しなくてもできますし、大抵は弁護士に相談するよりもずっと前に銀行等の担当者と話をすることが多いのではないかと思います。
しかし、うちの事務所にご相談に来られる方からお話しを聞くと、本人は担当者とうまく交渉をしているつもりであっても、実際はすれ違いが生じていて、うちが交渉に入ると、担当者から「もっと早くそうしてくれれば、また違ったんですけどねえ」というようなことを言われるなど(ただの常套句なのかもしれませんが)、うちにご依頼された時には既に銀行等との間で修復不能な関係にまでなっているケースがままあります。
そうなってしまう理由は、諸般の事情もあるのでしょうが、一番大きいのは、今までリスケの交渉をしたことがないため、手順を誤って認識していることにあるように思われます。交渉なので決まった手順というものがあるわけではないのですが、そのためにかえって経験の有無によって差が生じているのではないかと言えそうです。
あくまで交渉なので、銀行等からすれば必ずしもリスケに応じなければならないというものではありませんが(そもそもここから勘違いをしていたり過大な期待を抱いていたりする方も見受けられますが)、自分で交渉をする前に一度うちにご相談頂ければ、結果や過程が変わったのではないかなあと思うときがあります。