離婚条件の話合い ~離婚届の用紙から~

 去年から離婚届の用紙が変わったこと、ご存知でしたか?

 実は法律改正に伴い、昨年の4月から全国一律に離婚届の用紙が変更されています。といっても、ある内容が追加されただけなのですが。
 昨年の4月からの変更に備えて、おととしの年末頃から、全国の各役所で追加内容をスタンプで印字した用紙がちらほら登場していました。スタンプの内容は、未成年者の子がいる場合に面会交流と養育費の取り決めを夫婦間で話し合ったか否か、というチェック欄でした。
 離婚の話合いの中でも特に子供に関する内容については、その後の生活への影響が大きいということで、啓蒙するという意味も込めて追加されたのでしょう。

 面会交流や養育費、そして慰謝料や財産分与など、離婚時に発生する諸々の権利義務のことを、一般的に「離婚条件」と総称します。
 離婚する際には、これらについてきちんと話し合ってから離婚届を出すように、というのが、今回の離婚届の用紙の変更に込められた趣旨といえます。

 ところが、実際には、離婚条件についてほとんど話し合わずに、とりあえず先に離婚してしまう、というケースがあります。
 しかし、離婚してしまうと、お互いに膝を突き合わせて話合いをするという気にはなかなかなれないものです。その結果、離婚する前であればまだ何とかまとめられた話合いも、離婚後では思うように進まず、やむなく調停等の手続を行わざるを得なくなる場合があります。
 また、慰謝料や財産分与、年金分割などは、離婚してから一定期間が経過すると、請求そのものができなくなります。

 もちろん、ご夫婦の状況によっては、子供がいなかったり、そもそも貯蓄がなくて財産分与が問題とならないといったケースもあります。
 ですが、ご自身がそのようなケースに当てはまるかどうかの確認も含めて、「離婚する前に」弁護士に念のため相談した方が良いように思います。

この記事の執筆者

東京・大阪の二大都市で勤務弁護士の経験を積んだ後、
2008年から実務修習地の札幌で葛葉法律事務所を開設。
相続、離婚、交通事故、会社間の訴訟の取扱いが多め。
弁護士歴約20年。

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