当事務所のサイトに、「相続人が認知症かどうか誰が判断するか?」という検索で来られた方がいらっしゃるので、その点について簡単にご説明します。

 相続人の中に高齢者の方がいらっしゃる場合、その方が認知症等で正常な判断ができなくなっていることがあります。
 その場合、そのままでは適正な遺産分割はできません。仮に遺産分割協議書を作成しても、後日無効とされる恐れがありますし、また、家庭裁判所の調停ではそのままでは手続は進められないとされます。

 このような場合には、その方に成年後見人をつけた上で、遺産分割を行う必要があります。
 成年後見人を選任するのは家庭裁判所です。したがって、「相続人が認知症かどうか誰が判断するか?」という質問の最終的な回答は、家庭裁判所ということになります。
 ただ、家庭裁判所では、所定の診断書をもとに判断します。その診断書は医師が作成しますので、実際的には医師が判断することとなります。
 所定の診断書は、家庭裁判所に行って「成年後見手続用の診断書をください」と言えばもらうことができます。また、下記URL(リンク先:裁判所のホームページ)からもダウンロードできます。

http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_09_02/

 また、医師に診断してもらう前に簡単に判別できないか、とお考えの場合には、「長谷川式簡易知能評価スケール」という方法があります。これは、誰でも簡単に実施することができますので、問題がありそうな場合にはとりあえずそれを試してみるというのもよいでしょう。
 長谷川式簡易知能評価スケールのやり方は下記URL(リンク先:一般社団法人日本老年医学会)をご参照ください。

https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/tool/pdf/tool_05.pdf

この記事の執筆者

東京・大阪の二大都市で勤務弁護士の経験を積んだ後、
2008年から実務修習地の札幌で葛葉法律事務所を開設。
相続、離婚、交通事故、会社間の訴訟の取扱いが多め。
弁護士歴約20年。

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