24年前に被相続人から300万円を贈与されたことを否定する弟に対して審判で特別受益が認められたケース

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事案の概要

被相続人:父
相続人:子4人(Aさん、Y氏、他2名)

Aさんの父親は15年前に亡くなりましたが、その後いろいろあってようやく遺産分割調停が始まりました。

Aさんは、父親が死亡する9年前に父親がY氏に300万円を贈与したことがあると主張しました。

しかし、Y氏はそのような贈与を受けたことはないとして否定していました。

当事務所の強み

300万円の贈与があったのは調停時からすると24年も前のことで、またY氏が300万円を受け取ったという証拠もなかったので、本当に特別受益があったと認められるかが問題となりました。

この点、当時の被相続人の日記に「300万円Yにやつた」という記述がありました。また、その日記の日付の2週間前に被相続人の口座から300万円が引き出されていることが通帳で確認できました。

そこで当方から、日記は数年にわたりほぼ毎日つけられているので記録媒体として信用性が高いこと、日記の記述の直前に被相続人の口座から300万円が引き出されていること、それ以外に被相続人の口座から同様の高額な引き出しはないこと、特に被相続人の日記は被相続人自身の供述すなわち証言と同等であり決して軽視すべきではないこと、などを強く主張しました。

解決結果

調停では合意ができず審判になりましたが、審判ではY氏に300万円の特別受益があることが認められました。

その後、Y氏から不服申立て(即時抗告)がされて高裁に移行しましたが、高裁でも同様にY氏の特別受益が認められました。

※本件は平成30年の相続法改正前の事案です。

この記事の執筆者

東京・大阪の二大都市で勤務弁護士の経験を積んだ後、
2008年から実務修習地の札幌で葛葉法律事務所を開設。
相続、離婚、交通事故、会社間の訴訟の取扱いが多め。
弁護士歴約20年。

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