【2026年改正対応】札幌家庭裁判所の離婚調停ガイド~手続きの流れ・費用・共同親権の影響まで弁護士が解説~

この記事は、以下のようなお悩みをお持ちの方に向けて解説しています。

  • 札幌市内または近郊にお住まいで、配偶者との離婚を考えている
  • 夫婦間の話し合い(協議)がまとまらず、調停を検討している
  • 札幌家庭裁判所を利用する場合の具体的な手続きや期間を知りたい
  • 「共同親権」導入後、離婚の手続きや親権争いがどう変わるのか不安がある

2026年(令和8年)4月から、民法改正により「共同親権」制度が導入されます。これから離婚調停を行う場合、現行のルールだけでなく、将来の法改正を見据えた取り決めが不可欠です。

本記事では、札幌の地域事情に精通した弁護士が、最新の実務に基づき解説します。


目次

1. 離婚調停とは?裁判や協議離婚との違い

「離婚調停」とは、家庭裁判所において、調停委員を介して夫婦が話し合い、解決を目指す手続きのことです。いきなり裁判(訴訟)を起こすことは原則としてできず、まずは調停を経る必要があります(調停前置主義)。

それぞれの離婚方法の違いを整理しました。

離婚の種類特徴決定権費用の目安(実費)
協議離婚夫婦だけの話し合いで離婚届を提出する夫婦0円〜
調停離婚裁判所で調停委員を介して話し合う夫婦(合意が必要)数千円〜
裁判離婚裁判官が法律に基づいて判決を下す裁判官数万円〜

【重要】2026年4月から「共同親権」が始まります

これまで日本では、離婚後は父母のどちらか一方だけが親権を持つ「単独親権」しか選べませんでした。しかし、民法改正により、2026年4月1日からは、父母が話し合って双方を親権者とする「共同親権」を選べるようになります。

「今すぐに離婚調停をする場合、関係ないのでは?」と思われるかもしれませんが、改正法には「過去に離婚した夫婦も、施行日以降に家庭裁判所に申し立てれば、共同親権に変更できる」という経過措置があります。

つまり、今の離婚調停で作る合意内容(特に子供との関わり方)が、将来の親権変更の議論に影響を与える可能性があるのです。そのため、最新の法律を理解した上での話し合いが不可欠です。


2. 【札幌家庭裁判所】離婚調停の具体的な流れと管轄

札幌家庭裁判所(本庁:札幌市中央区大通西12丁目)で調停を行う場合の一般的なフローを解説します。手続きは大きく分けて以下の4つのステップで進みます。

Step 1: 申し立ての準備と提出

相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てを行います。札幌周辺は管轄が細かく分かれているため、提出先を間違えないよう注意が必要です。

【札幌家庭裁判所(本庁)の管轄エリア】

札幌市、江別市、千歳市、恵庭市、北広島市、石狩市、石狩郡(当別町、新篠津村)

※注意が必要な隣接地域(本庁ではありません)

  • 小樽市、余市町にお住まいの方 → 小樽支部
  • 岩見沢市、南幌町、長沼町にお住まいの方 → 岩見沢支部
  • 苫小牧市、安平町にお住まいの方 → 苫小牧支部

特に南幌町や長沼町は札幌・江別と生活圏が近いですが、管轄は岩見沢となります。管轄違いで提出すると手続きが遅れる原因となります。

Step 2: 第1回調停期日の通知

申し立てから約2週間〜1ヶ月後に、裁判所から相手方に呼出状が届きます。事前に事情を聴取するためのアンケート(照会書)が同封されている場合、記入して返送します。

Step 3: 調停期日(話し合い)の実施

指定された日時に当事者双方とも裁判所へ出向きます。

札幌家庭裁判所では、当事者同士が顔を合わせなくて済むよう、待合室は別々に用意されています。調停委員(通常は男女1名ずつの2名)がいる調停室へ交互に呼び出され、自分の言い分や希望を伝えます。

【冬期間や遠方の方は「ウェブ会議」も検討を】

札幌の冬(12月〜3月)は、吹雪等の悪天候によりJRやバスが運休し、裁判所へ行けないケースがあります。現在は、電話会議やウェブ会議システム(Webex)を利用して、自宅や弁護士事務所から手続きに参加できる運用が進んでいます。

遠方にお住まいの方や移動が不安な方は、事前に利用を相談することをおすすめします。

Step 4: 合意(調停成立)または不成立

双方が合意すれば「調停成立」となり、離婚が確定します。合意に至る見込みがなければ「不成立」となり、離婚訴訟(裁判)を検討することになります。


3. 調停にかかる期間と回数の目安

「どれくらいの期間、裁判所に通えばいいのか?」という点は、多くの方が不安に感じるポイントです。

司法統計(令和5年度)等のデータに基づくと、以下のような傾向があります。

項目目安備考
早期解決3ヶ月〜半年未満統計上、約半数以上の方が半年以内に終了しています。条件面の微調整で済むケースです。
長期化半年 〜 1年程度親権や財産分与で争点が多い場合はこの程度かかります。
期日の間隔1ヶ月 〜 1.5ヶ月に1回裁判所の混雑状況や双方の予定によります。

期間が長引く要因

  • 親権争い: 調査官による調査が必要になるため。
  • 財産分与: 不動産の査定が必要な場合や、財産の全容解明に時間がかかる場合。

「調停は必ず長引く」と思われがちですが、スムーズにいけば3ヶ月程度(3回程度)で終わることもあります。


4. 調停に必要な費用と書類【2025年最新版】

ご自身で申し立てを行う場合にかかる実費は、それほど高額ではありません。ただし、郵便料金の改定や納付方法の変更に注意が必要です。

基本的な費用

  • 収入印紙: 1,200円分
  • 郵便切手(予納郵券):約1,500円前後
    • ※重要: 2024年10月の郵便料金値上げに伴い、予納する切手の内訳(110円切手など)が変更されています。 古いインターネット情報にある「84円切手」は使用できませんので、必ず札幌家庭裁判所の窓口やウェブサイトで最新の内訳を確認してください。

【NEWS】電子納付が始まりました

2025年1月から、郵便切手を購入して提出する従来の方法に加え、郵便料を電子納付(Pay-easy等)で支払うことが可能になりました。切手の内訳を細かく揃える手間が省けるため、利用を検討される方は申立て時に窓口で確認してください。

必要書類リスト

  • 申立書及びその写し
  • 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 事情説明書
  • 進行に関する照会回答書
  • 年金分割のための情報通知書(年金分割を求める場合)

5. 調停を有利に進めるための事前準備と心構え

調停委員は中立な立場ですが、こちらの主張を正しく理解してもらい、有利な結果を引き出すためには「話し方」と「準備」が重要です。特に法改正を見据えた戦略の変化が求められます。

「相手への攻撃」よりも「子供への責任」を話す

従来の調停では「相手がいかに悪いか」を主張することが一般的でした。しかし、共同親権の導入により、「離婚後も、子供のために相手方と最低限の協力ができるか(フレンドリー・ペアレント)」という点が重視され始めています。

相手の悪口ばかりを言うよりも、「相手と子供の面会交流について、私はこのように前向きに考えている」「子供が両親から愛されていると感じられる環境を作りたい」と話す方が、調停委員に対して「理性的で子供思いの親」という強い好印象を与えます。

準備すべきメモ・資料(陳述書)

当日は緊張しやすいため、以下の内容をまとめたメモを持参しましょう。

  • 離婚したい理由(時系列で具体的に)
  • 希望する離婚条件(親権、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料)
  • 離婚後の養育プラン(案)
    • 「平日は母、週末は父」など、具体的なイメージを持っていることは強いアピールになります。
  • 相手方の財産状況がわかる資料(コピー)

※DV(ドメスティック・バイオレンス)がある場合

DVや虐待がある場合は、無理に協力姿勢を見せる必要はありません。改正法でもDV事案は「単独親権」と定められています。「子供の安全を守るために、なぜ単独での養育が必要か」を、証拠に基づいて冷静に伝えることが最優先です。


6. 弁護士に依頼するメリットとデメリット

調停はご自身で進めることも可能ですが、制度が複雑化している現在、弁護士に依頼することで結果が大きく変わることがあります。

比較項目ご自身で行う場合弁護士に依頼する場合
精神的負担大きい(全て自分で対応)軽減される(弁護士が盾になる)
手続きの手間書類作成・提出が必要全て代行可能
調停期日1人で出席弁護士が同席・代弁
主張の説得力感情的になりがち法的根拠に基づき論理的に主張

まとめと次のステップ

離婚調停は、単なる話し合いではなく、あなたの将来の生活基盤を決める重要な法的手続きです。

特に現在は、「2026年の民法改正」の過渡期にあり、インターネット上の古い情報やマニュアル通りにはいかないことが多々あります。

  • 「自分のケースでは、将来的に共同親権の影響を受けるのか?」
  • 「養育費を確実に回収するために、今どんな取り決めをすべきか?」
  • 「調停委員に、自分の子供への思いをどう伝えればいいか?」

このような不安を抱えたまま、お一人で手続きを進めるのはリスクが伴います。

葛葉法律事務所では、離婚問題に関する初回相談を無料で承っております。私たちは札幌の地で、最新の法改正情報を踏まえ、数多くの離婚調停を解決へと導いてきました。

あなたの置かれた状況を丁寧に伺い、「あなたにとって最も有利で、将来も安心できる解決策」をご提案いたします。

調停を申し立てる前に、まずは専門家の意見を聞いてみませんか?

この記事の執筆者

東京・大阪の二大都市で勤務弁護士の経験を積んだ後、2008年から実務修習地の札幌で葛葉法律事務所を開設。相続、離婚、交通事故、会社間の訴訟の取扱いが多め。弁護士歴約20年。
【メディア掲載歴】
・「法律事務所ガイドブック2013 頼れる身近な弁護士」(游学社)
・「財界さっぽろ」2021年12月号・特集記事【成功する経営者は士業を使う】
・「anan」2038号・特集記事【仕事も私生活も、身近な「困った」に頼れる!法律のエキスパート】

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