裁判報道の見方 ~和解の内容を確認してないのでコメントできない?

 平等院鳳凰堂の写真がジグソーパズルに使用されたため社会的評価が下がったとして平等院がジグソーパズルの販売差し止めなどを請求していた裁判で、和解が成立したとの報道がありました。

毎日新聞
ジグソーパズルに鳳凰堂写真 販売差し止め訴訟で平等院と玩具会社和解 京都地裁 | 毎日新聞  世界遺産・平等院(京都府宇治市)の国宝・鳳凰(ほうおう)堂を撮影した写真が無断でジグソーパズルに使われ、寺院としての社会的評価が下がったとして、平等院が玩具会...

 和解内容は、ジグソーパズルの在庫の廃棄や今後は許可なく鳳凰堂の写真を使用しないことを約する一方で、在庫の廃棄費用は平等院が負担するというもののようです。
 具体的な主張立証の経過が分からないのであくまで雑感ですが、販売会社側としてはクレームを入れられてまでパズルを販売する実益はない、そちらが処分費用を負担してくれるなら廃棄してもよい、平等院側としては今後は無断で写真を営利目的に利用されないように対外的にもアピールできる、というところでお互いの譲歩点が合致したのかなと思いました。

 さて、気になったのは最後の一文です。

>同社は「和解の内容を確認しておらず、コメントできない」としている。

 いやいやいや。和解の内容は確認した上で和解成立してるでしょう。

 普通に解釈すれば、「裁判所から和解調書がまだ届いてない」という趣旨なのでしょう。和解調書は、和解成立してその場で交付されるということはまずなく、裁判所→代理人弁護士→当事者本人に届くまで数日かかることがあります。そのため、記者がコメントを求めた時点では和解調書は届いていなかったと予想されます。
 他方で、代理人弁護士が和解を成立させる際には、当然ながら依頼者本人に確認し、了解を得た上で行います。なので、和解調書が届いてないからといって和解の内容を確認してないというのは無理があります。

 まあ、販売会社側としては特にコメントすることもないので無難に回避しようとして「訴状が届いてないのでコメントできない」というのを真似ようとしたというところなのでしょう。
 でも、さすがにこれはスマートではないように思いますので、今後このようなコメントが流行らないことを願います。

この記事の執筆者

東京・大阪の二大都市で勤務弁護士の経験を積んだ後、2008年から実務修習地の札幌で葛葉法律事務所を開設。相続、離婚、交通事故、会社間の訴訟の取扱いが多め。弁護士歴約20年。
【メディア掲載歴】
・「法律事務所ガイドブック2013 頼れる身近な弁護士」(游学社)
・「財界さっぽろ」2021年12月号・特集記事【成功する経営者は士業を使う】
・「anan」2038号・特集記事【仕事も私生活も、身近な「困った」に頼れる!法律のエキスパート】

目次