遺産分割調停は「怖い場所」ではない。札幌家庭裁判所での流れと、弁護士が隣にいることの本当の意味
「遺産分割調停」という言葉を聞いて、どのようなイメージを抱きますか?
「薄暗い法廷で、裁判官に厳しく尋問される」 「相手方の親族と怒鳴り合いになる」 「法律を知らないと、言いくるめられて損をする」
もし、このようなドラマや映画のようなシーンを想像して恐怖を感じているのであれば、ご安心ください。実際の遺産分割調停は、もっと静かで、淡々とした「話し合い」の場です。
この記事では、札幌で遺産分割調停を検討されている方、あるいは申し立てられて不安な方に向けて、札幌家庭裁判所での実際の手続きの流れと、弁護士を代理人につけることの「精神的なメリット」について解説します。
「裁判所=怖い」はドラマの見すぎ?調停のリアルな姿
まず、最も大きな誤解を解きましょう。 遺産分割調停は、裁判官が「有罪・無罪」や「勝ち・負け」を一方的に決める場ではありません。
あくまで、裁判官と調停委員(男女1名ずつのペア)という中立な第三者を交えて、相続人全員が納得できるゴール(合意)を目指す「話し合い」の場です。
「話し合いが決裂したら、すぐに裁判(訴訟)になって泥沼化するのでは?」と心配される方もいますが、家事事件の手続きは少し違います。調停で話し合いがまとまらない場合、自動的に「審判(しんぱん)」という手続きに移行します。
これは、通常の「訴訟」とは異なり、裁判官がそれまでの話し合いや資料をもとに、強制的に遺産の分け方を決定する手続きです。つまり、いつまでも争いが続くわけではありませんが、「自分たちの意思で決められなくなる(裁判官に決められてしまう)」というリスクがあります。そのため、できる限り調停の段階で、ご自身にとって納得のいく解決を目指すことが重要になります。
札幌家庭裁判所での「遺産分割調停」当日の流れ
では、実際に調停の日(期日)はどのように進むのでしょうか。
あなたが相手と顔を合わせることは、原則ありません
「顔も見たくない親族と、同じ部屋で話し合うなんて耐えられない」 そう思っている方も多いでしょう。しかし、実際の調停では、申立人と相手方は「別々の待合室」に通されます。
札幌家庭裁判所の場合、調停室を中心に、申立人待合室と相手方待合室は離れた場所に配置されていることが一般的です。調停委員が交互にそれぞれの部屋(または調停室)を訪れ、話を聞きます。
- まず、あなたが調停室に入り、30分ほど話をする。相手方は自分の待合室で待機。
- あなたが待合室に戻り、入れ替わりで相手方が調停室に入り、30分ほど話をする。
このように交互に話を聞くため、廊下ですれ違わないよう配慮されることも多く、直接顔を合わせて議論することは原則としてありません。
※あなたが調停を申し立てられた側の場合は、先に相手方が調停委員と話をします。
【重要】今は「裁判所に行かない」という選択肢もあります
さらに、近年の裁判所はIT化が進んでいます。 以前は必ず平日の日中に裁判所へ出向く必要がありましたが、現在は「電話会議システム」や「ウェブ会議システム」を利用した調停手続が広く利用されています。
特に相続の場合は当事者が全国にいて、札幌家庭裁判所まで行くのが大変だという方も少なくありません。代理人弁護士がついている場合、弁護士事務所からウェブ会議で参加したり、ご自宅から電話でつないだりすることで、裁判所への出頭自体を回避できるケースが増えています。
「遠方だから」「仕事が休めないから」と諦める前に、こうした制度の利用についてもご相談ください。
なぜ「弁護士が隣にいる」だけで、結果が変わるのか
ご自身一人で調停に臨むことも、制度上は可能です。 しかし、実際に一人で調停を行った方の多くが、次のような感想を漏らします。
「調停委員が相手の味方をしているように感じた」 「うまく説明できず、言いたいことの半分も言えなかった」 「待合室で待っている間、不安で押しつぶされそうだった」
ここで、弁護士が代理人として「隣にいる」ことの本当の意味が見えてきます。
メリット1:調停委員を「味方」につける説得力
調停委員は公平な立場ですが、人間です。 「感情的に不満をぶちまける人」よりも、「法的な根拠に基づいて、論理的かつ冷静に話す人」の意見に耳を傾けやすく、その主張を相手方に伝えやすくなるのが心理です。
弁護士は、あなたの希望を「ただのワガママ」ではなく、「法的に正当な権利(法定相続分や寄与分など)」として法律用語で構成し直します。これにより、調停委員が相手方を説得するための「武器(材料)」を提供することができるのです。
メリット2:その場で「即断即決」ができる
調停では、予想外の提案や妥協案が出されることがあります。 一人だと「これで損をしないだろうか?」「一度持ち帰って考えたい」と不安になり、結論が出せず、解決まで長引いてしまいがちです。
弁護士がいれば、その場で「その条件なら受け入れても大丈夫です(損はありません)」「それは不利なので拒否しましょう」と、即座に法的な判断を下せます。このスピード感が、早期解決への鍵となります。
メリット3:精神的な「防波堤」になる
何より大きいのが、精神的な負担の軽減です。 ウェブ会議の場合でも、待合室にいる場合でも、弁護士は常にあなたの隣(あるいは画面上)にいます。
万が一、相手方と廊下ですれ違いそうになったり、最後に手続き上の確認で同席を求められたりしても、弁護士がいれば「同席は拒否します」と強く申し入れ、あなたを守ることができます。 「一人ではない」という安心感が、冷静な判断を助け、結果として良い解決につながるのです。
まとめ:調停は「解決へのリスタート」の場所
遺産分割調停は、争いを拡大させる場所ではなく、止まってしまった遺産分割協議を動かし、新しい生活へ進むための「リスタート」の場所です。
2024年4月からは相続登記が義務化され、放置することのデメリットも大きくなっています。 「怖い」と立ち止まってしまう前に、まずは専門家である弁護士に話してみませんか?
葛葉法律事務所では、調停の申し立てから当日の同席、ウェブ調停の対応まで、親身にサポートいたします。あなたの不安を安心に変えるため、私たちが全力を尽くします。
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