札幌での相続相談、誰に頼む?弁護士・司法書士・税理士・行政書士の役割と正しい選び方

いざ相続が始まると、不動産の名義変更、遺産の分け方の話し合い、相続税の心配など、様々な問題が一気に押し寄せてきます。

「こんな時、誰に相談すればいいのだろう?」

多くの方が、弁護士、司法書士、税理士、行政書士という専門家の名前は知っていても、その役割の法的な違いまでは分からず、最初の一歩でつまずいてしまいます。

専門家選びを間違えると、手続きが途中で頓挫したり、余計な費用がかかったり、最悪の場合、家族間の溝が深まってしまうことも少なくありません。

この記事では、札幌市で相続問題に直面している方のために、各専門家の法的に定められた役割を明確にし、あなたの状況に最適なパートナーを見つけるためのポイントを、法律のプロである弁護士が分かりやすく解説します。

1. 【結論早見表】あなたの相続の悩み、相談すべき専門家は誰?

まずは結論から。あなたの現在の状況に、どの専門家が最も適しているか、ひと目で分かる早見表です。

こんなことで悩んでいる…最適な専門家
遺産の分け方で他の相続人と揉めている、揉めそうだ弁護士
相続人の中に行方不明者や非協力的な人がいる弁護士
遺言書の内容に納得がいかない、遺留分を主張したい弁護士
トラブル予防も含め、手続き全体を安心して任せたい弁護士
不動産の名義変更(相続登記)だけを確実に進めたい司法書士
相続放棄や遺言書の検認を家庭裁判所でしたい弁護士 or 司法書士 (※司法書士は書類作成のみ。法的助言や複雑な対応は弁護士)
相続税がかかるか知りたい、相続税の申告をしてほしい税理士
自動車の名義変更手続きをしたい行政書士

2. 【警告】2024年4月開始!相続登記の義務化と罰則のリスク

これまで任意だった不動産の相続登記が、2024年4月1日から法律で義務化されました。これは過去の相続にも遡って適用される、非常に重要なルール変更です。

  • 期限は3年以内: 不動産を相続したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。
  • 罰則は10万円以下の過料: 正当な理由なく期限内に登記をしないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。
  • 過去の相続も対象: 2024年4月1日より前に相続した未登記の不動産も対象です。この場合、2027年3月31日までに登記する必要があります。

「相続人が多くて連絡が取れない」「遺産分割で揉めている」などの「正当な理由」があれば過料を免れる場合もありますが、その判断は容易ではありません。放置は最大のリスクです。この新しい義務に確実に対応するためにも、早期に専門家へ相談することが不可欠です。

3. 相続手続きの3つのフェーズと各専門家の関わり

相続手続きは、大きく分けて3つの段階で進みます。それぞれの段階で、どの専門家が活躍するのか見ていきましょう。

  • フェーズ1:相続人・財産の調査と確定
    • 内容: 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本を集めて相続人を確定させ、同時に不動産、預貯金、借金などの財産を調査します。
    • 主な専門家: 弁護士、司法書士、行政書士
  • フェーズ2:遺産分割協議と書類作成
    • 内容: 相続人全員で「誰が、何を、どれだけ相続するか」を話し合い(遺産分割協議)、合意した内容を「遺産分割協議書」として作成します。
    • 主な専門家:
      • 【揉めていない場合】: 弁護士、司法書士、行政書士が協議書を作成。
      • 【揉めている場合】: 弁護士が代理人として交渉や調停を進める。
  • フェーズ3:名義変更(登記)と相続税申告
    • 内容: 遺産分割協議書に基づき、不動産の名義変更(相続登記)や預貯金の解約・名義変更を行います。相続税が発生する場合は、税務署へ申告・納税します。
    • 主な専門家:
      • 【相続登記】: 司法書士
      • 【相続税申告】: 税理士
      • 【預貯金解約など】: 弁護士、司法書士、行政書士

4. 【徹底比較】弁護士・司法書士・税理士・行政書士のできること・できないこと

各専門家には法律で定められた業務範囲があります。特に「紛争(揉め事)」に関与できるかどうかで、役割が大きく異なります。

弁護士:相続トラブル解決と手続き全体の唯一無二の専門家

弁護士は、法律に関するすべての業務を行うことができ、特に「紛争解決」のエキスパートです。

  • できること:
    • 他の相続人との代理交渉、遺産分割調停・審判・訴訟の代理(弁護士の独占業務
    • 相続に関するあらゆる手続きの代理(相続人・財産調査、遺産分割協議書作成、遺言執行など)
    • 司法書士や税理士と連携し、登記や税務申告を含む手続き全体を統括する「司令塔」の役割
  • できないこと(通常、専門外として提携先に依頼すること):
    • 相続税の申告(税理士と連携します)
    • 不動産の相続登記(司法書士と連携します)

司法書士:不動産の名義変更(相続登記)の専門家

司法書士は「登記」のプロフェッショナルです。相続登記義務化に伴い、その役割はますます重要になっています。

  • できること:
    • 不動産の名義変更(相続登記)の申請代理(司法書士の独占業務
    • 相続放棄や遺言書検認の申立書類の作成
    • 紛争性のないケースでの遺産分割協議書の作成
  • できないこと:
    • 相続トラブルの代理交渉や調停・審判への関与。 弁護士法に違反するため、少しでも揉め事が発生した場合は、代理人にはなれません。
    • 相続税の申告

税理士:相続税申告の専門家

税理士は「税金」に関する唯一の専門家です。相続財産が高額な場合には必須のパートナーです。

  • できること:
    • 相続税の計算と税務署への申告代理(税理士の独占業務
    • 相続税を考慮した遺産分割のアドバイス
    • 相続税申告に付随する遺産分割協議書の作成
  • できないこと:
    • 相続トラブルの代理交渉。 税務上のアドバイスはできても、相続人間の利害調整はできません。
    • 不動産の相続登記

行政書士:許認可申請と権利義務に関する書類作成の専門家

行政書士は、官公署に提出する書類作成のプロです。相続では限定的な役割を担います。

  • できること:
    • 自動車の名義変更手続き
    • 紛争性のないケースでの遺産分割協議書の作成
    • 預貯金の解約・名義変更手続き
  • できないこと:
    • 相続トラブルへの一切の関与
    • 不動産の相続登記や、裁判所に提出する書類の作成。
    • 相続税の申告

5. こんなケースは弁護士へ!弁護士にしかできない相続問題の解決

相続問題において、弁護士の真価が発揮されるのは「揉めている、または揉める可能性がある」ケースです。以下の場合は、迷わず弁護士に相談してください。

  • ① 相続人間で揉めている、または揉めそうな場合の「代理交渉」
    「遺産の分け方で意見が合わない」「感情的になって話し合いにならない」といった場合、あなたの代理人として他の相続人と法的に交渉できるのは弁護士だけです。
  • ② 遺産分割調停・審判・訴訟の「代理人」
    話し合いで解決せず、家庭裁判所での手続きに移行した場合、あなたの代理人として出廷し、法的な主張を行えるのも弁護士だけです。
  • ③ 法律上のあらゆる問題に対応できる相続問題は、遺産分割だけでなく、過去の借金問題、不動産の賃貸トラブルなど、様々な法律問題が絡むことがあります。弁護士は業務範囲に制限がないため、こうした複雑な問題にもワンストップで対応できます。

少しでも揉める可能性がある、あるいは手続き全体を安心して任せたいとお考えなら、最初から弁護士にご相談いただくのが最もスムーズです。葛葉法律事務所では、他の専門家との連携により、あらゆる相続問題をワンストップでサポートします。

6. 【2024年最新版】札幌で利用できる相続関連の公的無料相談窓口

個別の事務所に連絡する前に、まずは公的な相談窓口を利用するのも良い方法です。

相談窓口特徴連絡先(予約・問い合わせ)
札幌弁護士会 法律相談センター遺産分割の揉め事など、法的なトラブル全般について弁護士に相談できる。予約電話: 011-251-7730
札幌司法書士会 相続登記相談センター相続登記(不動産の名義変更)や遺言、相続放棄等の手続きについて司法書士に相談できる。面談予約: 011-211-5766
電話相談: 011-211-6665
北海道税理士会 税の無料相談(電話)相続税がかかるか、申告手続きはどうすればよいかなど、税金に関する一般的な質問を税理士に電話で相談できる。電話相談: 050-3173-8506

※上記は2024年時点の情報です。ご利用の際は、必ず事前に各団体のウェブサイト等で最新情報をご確認ください。

7. 札幌で信頼できる専門家を見つけるための3つのポイント

  • ポイント1:相続問題に関する「実績と専門性」を確認する。「相続専門」と謳っていても、実績は様々です。事務所のウェブサイトなどで、これまでの解決事例や、相続問題に関する情報発信の量と質を確認しましょう。
  • ポイント2:「費用体系」が明確で分かりやすいか相談前に、費用(相談料、着手金、報酬金など)について明確な説明があるかを確認しましょう。初回相談無料の事務所も多いので、まずはそうした場を活用するのがお勧めです。
  • ポイント3:「相性」が良いか、親身に話を聞いてくれるか。相続問題は、ご家族のデリケートな問題も話す必要があります。相談の際に、高圧的な態度を取らず、親身になって話を聞いてくれる、信頼できると感じる専門家を選びましょう。

8. まとめ:相続の司令塔は弁護士。迷ったらまず弁護士へ

相続手続きは複雑で、どの専門家に頼むべきか迷うのは当然です。

基本的な考え方は以下の通りです。

  • トラブルがなく、不動産の名義変更が主目的なら「司法書士」
  • 相続税の心配があるなら「税理士」
  • そして、少しでも揉める可能性がある、あるいは将来の不安も含めて全体を任せたいなら「弁護士」

弁護士は、業務範囲に制限がない唯一の専門家です。相続問題の「司令塔」として、必要に応じて司法書士や税理士と連携し、あらゆる問題をワンストップで解決に導くことができます。

どこに相談すべきか迷ったら、まずは弁護士事務所の無料相談を活用し、問題の全体像を法的に整理することから始めてみてはいかがでしょうか。


この記事で解説した内容は、あくまで一般的なケースです。

個別の状況によっては、より複雑な手続きや判断が必要になることも少なくありません。

もし少しでもご不安な点があれば、お一人で悩まずに、法律の専門家である弁護士にご相談ください。

葛葉法律事務所では、初回相談を無料で承っております。

あなたのお悩みに寄り添い、最適な解決策をご提案いたします。

まずはお気軽にお問い合わせください。

監修:葛葉法律事務所

この記事の執筆者

東京・大阪の二大都市で勤務弁護士の経験を積んだ後、2008年から実務修習地の札幌で葛葉法律事務所を開設。相続、離婚、交通事故、会社間の訴訟の取扱いが多め。弁護士歴約20年。
【メディア掲載歴】
・「法律事務所ガイドブック2013 頼れる身近な弁護士」(游学社)
・「財界さっぽろ」2021年12月号・特集記事【成功する経営者は士業を使う】
・「anan」2038号・特集記事【仕事も私生活も、身近な「困った」に頼れる!法律のエキスパート】

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