調停に代わる審判とは

「遺産分割の話し合いをしたいけれど、相続人が多すぎて全員で集まるのは難しい…」
「相続人が遠方に住んでいて、家庭裁判所の調停に毎回出席するのは現実的ではない…」

遺産分割協議では、このようなお悩みを抱えるケースが少なくありません。特に、相続人が全国に散らばっている場合、全員が何度も裁判所に足を運ぶのは大きな負担となります。

このような状況で活用できる可能性のある手続きが、今回ご説明する「調停に代わる審判」です。

■「調停に代わる審判」とは、どのような手続きですか?

「調停に代わる審判」とは、家庭裁判所での調停が成立には至らないものの、あと少しで合意できそうな場合などに、裁判所が「この内容で解決するのが適切だろう」と判断し、解決案を「審判」という形で示してくれる手続きです(家事事件手続法第284条1項)。

本来、調停はあくまで話し合いの場です。そのため、当事者全員が合意しなければ、調停は成立しません。もし、調停で話がまとまらなければ「不成立」となり、自動的に「審判」という手続きに移行して、裁判官が最終的な判断を下すのが基本的な流れです。

しかし、「調停に代わる審判」は、この流れとは少し異なります。 調停が不成立になった後、改めて審判の手続きを進めるのではなく、これまでの調停での話し合いの経緯などをすべて考慮した上で、裁判所が「審判」という形で最終的な判断を下すのです。

■どのような場合に利用されることが多いのでしょうか?

この手続きは、主に次のようなケースで利用されることがあります。

  • 当事者間でおおよその合意はできているものの、ごくわずかな点で意見が食い違っている。
  • 相続人の一人が遠方に住んでいる、あるいは病気などの理由で、調停に出席することができない。

例えば、遺産分割の内容についてはほとんど合意できているのに、「不動産の名義変更手続きは誰が担当するか」といった細かな点で話がまとまらないような場合です。このようなとき、裁判所が「この内容であれば、全当事者にとって公平だろう」と判断し、審判を下すことで、迅速な解決を図ることができます。

■「調停に代わる審判」が出されると、どうなりますか?

裁判所から審判の内容が通知され、その内容に不服がなければ、特に何もしなくても大丈夫です。 もし、審判の内容に納得できない当事者がいれば、通知を受けてから2週間以内に「異議申立て」を行うことができます。

一人でも異議申立てをすると、この審判は効力を失い、通常通り、自動的に審判手続きへと移行します。 逆に、誰からも異議申立てがなければ、審判の内容が確定します。この確定した審判は、調停が成立したのと同じ強い効力を持ちますので、その内容に従って預金の解約や不動産の名義変更などの手続きを進めることができます。

相続人が多くて話し合いがまとまらない、あるいは裁判所に行くのが難しいといった事情でお困りの際は、このような手続きも解決策の一つとなります。


遺産分割協議や調停手続きは、専門的な知識が求められるだけでなく、精神的なご負担も大きいものです。「調停に代わる審判」をはじめ、ご自身のケースではどのような解決方法が最適なのか、判断に迷われることも多いかと思います。

葛葉法律事務所では、相続問題に関する豊富な経験に基づき、ご依頼者様一人ひとりの状況に合わせた最適な解決策をご提案いたします。初回のご相談は無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

この記事の執筆者

東京・大阪の二大都市で勤務弁護士の経験を積んだ後、2008年から実務修習地の札幌で葛葉法律事務所を開設。相続、離婚、交通事故、会社間の訴訟の取扱いが多め。弁護士歴約20年。
【メディア掲載歴】
・「法律事務所ガイドブック2013 頼れる身近な弁護士」(游学社)
・「財界さっぽろ」2021年12月号・特集記事【成功する経営者は士業を使う】
・「anan」2038号・特集記事【仕事も私生活も、身近な「困った」に頼れる!法律のエキスパート】

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