「他の相続人と『直接』話したくない…」は可能か?弁護士を盾にして、心の平穏を取り戻す遺産分割の方法


「遺産分割の話をしなければならないが、兄の声を聞くのも怖い」

「疎遠だった親族と、今さら金銭の話をするのが苦痛で仕方ない」

「相手が感情的で話が通じない。もう二度と顔を合わせたくない」

相続の手続き自体よりも、「人間関係のストレス」に押しつぶされそうになっている方は、実は非常に多いのです。

法律事務所には、「お金は多少減ってもいいから、とにかく相手と関わらずに終わらせたい」という悲痛なご相談が数多く寄せられます。

結論から申し上げますと、 弁護士にご依頼いただければ、他の相続人とのやり取りの窓口をすべて弁護士に一本化し、直接の話し合いを避けて遺産分割手続きを進めることが可能です。

多くのケースにおいて、ご依頼者様が相手方の声を直接聞くことも、顔を合わせることもなく、解決に至っております。

この記事では、弁護士が「代理人」として間に入ることが、あなたの精神的な健康と生活をどのように守るのか、最新の裁判実務も踏まえて、札幌の弁護士が詳しく解説します。


目次

結論:可能です。弁護士はあなたの「盾」になります

弁護士を雇うということは、単に法律の知識を借りるだけではありません。

最も大きな役割の一つは、あなたの代わりに矢面に立ち、あなたを守る「盾(防波堤)」になることです。

「代理人」とは、あなたの「分身」

弁護士と委任契約を結ぶと、弁護士はあなたの「代理人」となります。

これは、遺産分割協議という法律行為(契約)において、あなた本人と同じ権限を持って交渉や手続きを行うことができるということを意味します。

つまり、あなたが言いたいこと、主張したいことは、すべて弁護士を通じて相手に伝えることができますし、相手からの要求も、すべて弁護士が受け止めます。

あなたが直接、交渉のテーブルに着く必要はなくなるのです。


弁護士に依頼した瞬間から、直接の連絡はストップする仕組み

では、具体的にどのようにして直接の接触を断つのでしょうか。

魔法の通知書「受任通知」

弁護士は、依頼を受けるとすぐに、他の相続人全員に対して「受任通知(じゅにんつうち)」という書類を送付します。

ここには、概ね以下のような内容が書かれています。

  1. 「私(弁護士)は、〇〇さん(あなた)の代理人に就任しました」
  2. 「今後の遺産分割に関する連絡や交渉は、すべて当職(弁護士)宛てにお願いします」
  3. 「ご本人(あなた)への直接の連絡や訪問は、控えていただくよう通知します」

相手はあなたに直接連絡する理由を失う

この通知が届くと、相手方には「交渉はすべて弁護士を通さなければならない」という法的な規律と心理的なプレッシャーが働きます。

弁護士法に基づき、法律の専門家が代理人についた以上、相手方があなたに直接連絡を取る合理的な理由はなくなります。

これにより、事実上、あなたへの直接の連絡はストップします。

もし相手が弁護士を無視してあなたに電話をかけてきたりしても、あなたは「弁護士に任せているので、そちらに連絡してください」とだけ伝えれば、それ以上の対応をする必要はありません。

それでも執拗な嫌がらせや、業務に支障が出るレベルの連絡が続く場合は、弁護士から相手方に対し、業務妨害や迷惑防止条例違反等の可能性を示唆した上で、法的措置も辞さない強い態度で警告を行います。


メリット1:圧倒的な「心理的負担」からの解放

弁護士を代理人にする最大のメリットは、なんといっても 精神的な安らぎ を取り戻せることです。

ご自身で対応する場合弁護士に依頼した場合
着信の恐怖
携帯電話が鳴るたびに「またあいつか?」とビクビクする。
静寂な日常
全ての連絡窓口が弁護士事務所になるため、あなたの電話が鳴ることはなくなります。
感情的な攻撃
罵倒されたり、過去の恨み言を言われたりして傷つく。
冷静な報告
相手の感情的な発言は弁護士が全て受け止め、あなたには法的に必要な事実は何かという見地からご報告します。精神的衛生が保たれます。
論破される不安
言いくるめられないよう、常に緊張状態で過ごす。
専門家の防衛
法的な判断はプロが行います。安易に不利な条件を飲まされる心配はありません。
生活の侵害
仕事中や深夜にも連絡が来て、生活が乱される。
ルールの確立
相手からの連絡は、原則として弁護士の営業時間内に限定されます。

「夜も眠れなかったが、弁護士にお願いした日から熟睡できるようになった」

これは、多くのご依頼者様からいただく感想です。


メリット2:力関係や感情論を排除し、「対等な交渉」ができる

親族間の話し合いでは、どうしても「昔からの力関係」が影響してしまいます。

「長男の言うことは絶対」という威圧的な兄

「お前は介護をしなかった」と責め立てる姉

「嫁に行った人間が口を出すな」という親戚

こうした相手に対して、ご自身一人で対等に交渉するのは至難の業です。相手の剣幕に押され、不利な条件を飲まされてしまうことも少なくありません。

弁護士は「法律」という共通言語で話す

弁護士が入ると、議論の土俵は「感情論」から「法律論」へとシフトします。

「長男だから偉い」といった古い慣習は、現代の法律では通用しません。

弁護士は、民法や最新の判例に基づき、あなたの正当な権利を淡々と、しかし力強く主張します。

  • 法定相続分: 法律で定められた正当な取り分
  • 遺留分: 遺言があっても最低限保障される権利
  • 寄与分: 介護などでの貢献分の主張

相手がどんなに感情的になっても、弁護士は冷静に対応しますので、あなたは対等、あるいはそれ以上の立場で交渉を進めることができます。


メリット3:顔を合わせずに「遺産分割協議」を成立させる方法

「でも、最後にはハンコを押すために会わないといけないのでは?」

「裁判になったら、裁判所で鉢合わせするのでは?」

そう心配される方もいらっしゃいますが、その点もご安心ください。

1. 書面のやり取り(持ち回り)で解決

話し合いがまとまったら、弁護士が「遺産分割協議書」を作成します。

署名・押印の手続きは、郵送による「持ち回り方式」で行うことができます。

弁護士が各相続人に書類を郵送し、署名・実印を押して返送してもらう形をとれば、一度も顔を合わせることなく、法的に有効な協議を成立させることが可能です。

2. 遺産分割調停でも「会わない」工夫

話し合いがまとまらず、家庭裁判所での「調停」になった場合でも、ご本人の負担を極限まで減らす仕組みがあります。

  • 代理人による出頭: 手続きの進行(期日への出頭)の多くを弁護士が代行します。ご本人が裁判所に行く頻度は最小限になります。
  • ウェブ会議の活用: 近年導入が進んでいる「ウェブ会議システム」を利用すれば、弁護士事務所から調停に参加でき、裁判所への出頭すら不要になるケースが増えています。
  • 完全分離の徹底: もし裁判所に行く必要が生じても、家庭裁判所は当事者同士が顔を合わせないよう厳重に配慮してくれます。待合室は別々の階や離れた場所に用意され、調停室への入退室の時間もずらされます。

「裁判所の廊下でバッタリ会う」といった事態は、弁護士が裁判所と連携して回避します。


まとめ:心の平穏を守るために、専門家を頼ってください

「家族のことなのに、弁護士を入れるなんて大げさではないか」

「冷たい人間だと思われるのではないか」

そんなふうに自分を責める必要は全くありません。

相続は、時として家族の縁を変えてしまうほど大きなストレスを生むものです。

無理をしてご自身の心を壊してしまう前に、「物理的・心理的な距離」を確保することは、自分を守るための正当な権利です。

「もう誰とも話したくない」

そう思ったら、それは限界のサインです。まずは一度、私たちにご相談ください。

あなたが二度と辛い思いをしなくて済むよう、私たちが間に入り、解決までの道のりを伴走いたします。

この記事で解説した内容は、あくまで一般的なケースです。

個別の状況によっては、より複雑な手続きや判断が必要になることも少なくありません。

もし少しでもご不安な点があれば、お一人で悩まずに、法律の専門家である弁護士にご相談ください。

葛葉法律事務所では、初回相談を無料で承っております。

あなたのお悩みに寄り添い、最適な解決策をご提案いたします。

まずはお気軽にお問い合わせください。

監修:葛葉法律事務所

この記事の執筆者

東京・大阪の二大都市で勤務弁護士の経験を積んだ後、2008年から実務修習地の札幌で葛葉法律事務所を開設。相続、離婚、交通事故、会社間の訴訟の取扱いが多め。弁護士歴約20年。
【メディア掲載歴】
・「法律事務所ガイドブック2013 頼れる身近な弁護士」(游学社)
・「財界さっぽろ」2021年12月号・特集記事【成功する経営者は士業を使う】
・「anan」2038号・特集記事【仕事も私生活も、身近な「困った」に頼れる!法律のエキスパート】

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