同性カップルには財産分与は認められないとした審判

先日、横浜家庭裁判所で同性カップルには財産分与は認められないとする審判が出されたというニュースがありました。

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同性カップルにも一定の法的保護を認めるよう要請されるのが裁判実務の傾向かと思っていましたが、それにストップをかけるような決定となります。

もともと財産分与というのは、離婚したときにしか認められません。
そして、離婚というのは法的に婚姻した場合にしかできません。
よって、法的に婚姻していない内縁の場合は、原則として財産分与は認められませんでした。

ただ、内縁にも婚姻に準じた法的保護を与えるべきであるという風潮が高まりました。
そのため、内縁解消の場合にも離婚に準じて財産分与が認められるようになりました。

そして、昨今、法律婚が認められていない同性カップルについても、一定の法的保護を与えるべきであるという風潮が高まっています。
実際、昨年3月には最高裁で同性カップルにおいても不貞慰謝料の請求が認められており、同性カップルも法律婚や内縁と同様に貞操義務を負うものと解されます。
そのため、同性カップルの解消の場合にも、法律婚や内縁と同様に財産分与の請求が認められるのではないかと予想されるのですが……。

ただ、上記の報道記事の記載からすると、今回の審判ではそもそも同性カップルには内縁関係すら認められないとしているように読めます。
これはもしかしたら、当該事例において内縁関係が認められないという程度の趣旨だったのかもしれません。つまり、その同性カップルはあくまで交際の域を出ず、そもそも内縁ではなかったと判断したのかもしれません。
もしそうであれば、事実関係の認定の時点で請求が認められない結果となっているので、同性カップルに財産分与は認められないという結論ではない可能性もあります。

いずれにしろ、当該事例は家裁で終わらずに高裁へ続くと予想されますので、今後の続報が待たれます。

この記事の執筆者

東京・大阪の二大都市で勤務弁護士の経験を積んだ後、
2008年から実務修習地の札幌で葛葉法律事務所を開設。
相続、離婚、交通事故、会社間の訴訟の取扱いが多め。
弁護士歴約20年。

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